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無期雇用制度が人件費の問題で派遣切りを加速させている(2018年9月末まで)
派遣社員としての労働が同一の職場で3年を超せば無期雇用になる法律が裏目にでてしまい2018年9月末を前に派遣切りが加速しているようです。
人件費の問題を考慮すると雇用の調整弁のように捉えていた企業側からするとそうせざるを得ない状況も想像できます。
元々派遣社員は、会社からすると繁忙期などに正社員が受け持つ仕事の中で簡単な内容の仕事だけを正社員よりも安く任せられる人材の認識でしかなかったのです。
私が勤めていた会社の派遣社員の話
実際に私が勤務していた会社でも繁忙期のみ派遣社員を雇う支店が多く、短期であれば3ヶ月、仕事ぶりが良ければ更新し6か月以上勤務してもらうケースもありました。
人手が足りない支店では優秀な人であれば長く勤めてもらうケースもありましたが、仕事ぶりが望むようなものでなければ3ヶ月以内に契約終了になる厳しい世界でもありました。
派遣社員の中には優秀でやる気のある人もいれば、やる気もなく最低限の仕事もできない人もいました。
優秀な人材には難易度の高い仕事を徐々に任せていくこともできますが、そうではない人にはいつまで経っても仕事の効率を上げてもらうことや仕事量を増やしてもらうことはできません。
最初、派遣社員に依頼できる仕事といえば雑用や簡単な伝票入力くらいです。
皆が1時間で50枚の伝票処理をしている時にも20枚の伝票さえ入力できない人もいるのです。
1時間に20枚程度しか入力できなくても他の事で優れていればよいのですが仕事の能力においても然りというケースもあります。
派遣は時給ですから同じ時給でも仕事の処理速度が数倍違うと企業側も苦慮します。
正確さが同程度の場合には会社としては後者の人を派遣として雇うなら人件費が安いためまだ構いませんが、膨大な人件費が発生する無期雇用はしたくないとなります。
派遣社員を無期雇用(直接雇用)にすることで膨大な人件費が必要になる
元々、雇用の調整弁のような存在だった派遣社員を無期雇用にするとなると会社としては、膨大な人件費が必要となってくるのです。
それなら最初からやる気のある優秀な正社員を雇った方がいいとなるでしょう。
実際に私も人事の担当者から「派遣社員やパートに対しては本人の能力に応じた誰にでもできる仕事を与えるだけで、元々何も期待していない」と聞いた事さえあります。
ただ、それは人件費が安いからの話です。
人件費が高ければ企業としてはそれなりの仕事をしてほしいとなります。
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人事担当者の声
以前、上場企業の人事担当者からも「派遣社員やパート社員には重要な仕事は任せられない。その理由は最初から簡単な仕事しか希望しない人が多く、そもそも意欲や責任感がない人が多いからミスがあっても後で正社員がすぐカバーできる程度の簡単な仕事と雑用しか任せられない」とも聞いた事があります。
優秀な派遣社員は正社員になれる
派遣社員やパート社員には優秀な人も多いのです。
実際に私も某国立大学大学院卒の優秀な派遣社員と一緒に仕事をしたことがありまして、偏差値が70以上あり能力的には一部の正社員より優れている人もいました。
優秀な人は難易度の高い仕事も難なくこなしてくれますし私達正社員からの評判もよく、やがてそれが役員の耳に入り後に正社員として直接雇用されることになりまして、正社員登用後も期待以上の仕事ぶりで活躍されていました。
私も一緒に県外や海外に出張したこともありますが本当に優秀で人柄も良かったです。
何故これほど優秀な人が今まで派遣社員として働いていたのかと不思議に思い、親しくなってから本人にその謎を聞いてみたところ、元々大学院を出た直後は新卒で正社員として働いていたものの、残業や休日出勤が多くあまりのハードワークぶりに正社員が嫌になって退職し、その後は人材派遣会社に登録し残業のない派遣社員をするようになったとのことでした。
いくつかの企業で派遣社員として働いている内にいつしか30歳を超え、独身で一人暮らしだったことに加えて段々と将来が不安になってきていたところで、ちょうど私の勤務していた会社で派遣社員として働くことになったそうです。
過去に正社員の経験があったため、正社員の人達の大変さがわかっていたからこそ、少しでも助けになればといろいろ気をきかせて働いている内に、同僚や上司からも認められるようになって、その後直接雇用の契約社員になったのち、正社員に誘われたという流れです。
年齢が年齢であったことと将来の事を考え、大変さを理解した上で、もう一度正社員として働く事を決意されたそうです。
正社員はいいことばかりではない
ただ忙しい会社の正社員になってしまうと私生活がほぼないような状態になりますし、女性でも当たり前のように海外出張や県外への転勤を命じられることもあります。
転勤先が日本ならまだしも言葉がよくわからないような場所への海外赴任を命じられる可能性もあります。
正社員として働く場合には、その辺の事情に理解を示す必要がありますし、最低でも男性と同じだけの仕事はしなければなりません。
派遣社員が考えているほど正社員は決して楽ではありません。
ただ仕事面では厳しい部分もありますが、やはり正社員は給料に加えてボーナスがあるのは大きいです。
収入面では正社員が魅力
評価が良ければ賞与だけでも数百万円もらえたりもしますので、派遣社員と比較しますと年収が倍もしくはそれ以上になりますから収入の面での魅力はあります。
また、日本企業には年功序列の会社も多いため長く勤めれば勤めるほどに昇給も増えていき退職金の額も雪だるま式に増えていきます。
派遣社員を続けるのか正社員になるのか選ぶのは自分
大変ではありますが正社員になりたい人は、どん欲に仕事をこなしていけばやがて派遣社員から正社員になれるケースもあります。
時間から時間の派遣社員として働いて自分の時間を優先するのか、あるいは正社員としてハードに働いてしっかり報酬をもらうのか、どちらを望むかによって働き方を選ぶしかないように思います。
派遣から晴れて無期雇用になったからといって、その後正社員と同じように働くのが幸せとも思いませんし、責任が増えることになる無期雇用が決していいものには見えませんが、今後どのような働き方を望むかは本人次第になりますよね。
ただやはり派遣社員は正社員と比較すると心構えからして全く違うというケースもあるのは事実です。
無期雇用や正社員を希望するなら、それ相応の心構えが必要ですし今まで以上の仕事の責任や仕事量は増えることにはなるでしょうから、かえって働きにくくなる社会になる可能性もあります。
派遣社員が3年で無期雇用となると優秀な人の場合は3年を待たずして正社員にしてでも会社が手放さないでしょうが、最低限の仕事しかできていない人や、そこそこの人に対しては今まで以上に派遣切りが横行することになるような気がしてしまいます。
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